POPとプライスカード。
- reethihandhuvaru
- 2017年8月12日
- 読了時間: 6分


沖縄の牧志公設市場の写真です。
どれも美味しそうです。どんな料理になるんでしょうか?
鮮魚店で自分が選んでお金を支払った魚介類を、上の食堂に持って行って調理してもらえるというお楽しみがあることで有名ですね。
ズームアップして見ると南国らしい色鮮やかな魚介類に、値段・・・付いていますね?
これって、プライスカードでしょうか?POPでしょうか?
例えば、手前の2つのバットに入っている天然エビ。
何が違うんでしょうか?
どちらもオーストラリア産ですが、違うのは大きさです。
左のサイズが中、右が大。
それから、価格で600gあたり幾らか? 左が2,800円、右が3,000円。
右の黄色の紙には、左の紙にない情報が追加されています。
「600gだと、23〜24尾で、フライやチリソースにお勧めである」という情報。
さて・・・この黄色の紙。
プライスカードか?POPか?・・・どちらだと思いますか?
私が思うに、左はプライスカード。右はPOPですね。
お料理が思い浮かぶ情報が、追加されていますから。
前回のブログで書いた「長野のりんごの陳列方法」。あのりんごの説明も、価格こそありませんでしたが、立派なPOPです。
全部、りんごだけれど、特徴や魅力がしっかり伝えられていますから。
・・・ということで、お判りだと思いますが、プライスカードとPOPは正確には同じものではありません。
今回は、このプライスカードとPOPについて、個人的に語って見たいと思います。
まず、商品を購入するにあたって、お客様が必要とする情報を考えてみます。
指名買いではなく、衝動買いやウインドウショッピングの場合を想定します。
1.この◉◉素敵。欲しいなあ。
2.幾ら?(値ごろ感・・・価値観・・・見合っていれば、ここでほぼ購入が決まります。)
3.この◉◉は、他の◉◉とどこが違うのか?どこが優れているのか?(比較検討。)
4.◉◉の生産地や、メーカー、ブランド(安心材料が多い方が良い。)
概ね、こんな流れになるかと思います。
幾らかな?と思って、プライスカードを見た時は、購入の意思が少なからずある。
「プライスカード」は言葉の通り、その商品が幾らで手に入るか?「値段」が判るもの。
その商品は何か?が、解っている前提で、説明が必要のないものに付けるもの。
例えば、洋服、靴、バッグ、アクセサリーなどなど・・・。
用途がはっきりしていて、あとは商品の力や魅力だけで勝負できるもの。
「「欲しい!」と感じて「幾らなら手に入る?」と思った時に見るもの。
「POP」は、その商品に解説をつけないと、「何か?」が解らない商品に付けるもの。
価格はもちろんですが、説明とアピールが必要なものに付けるもの。
もしくは、特にアピールしたい情報がある商品に付けるもの。
例えば、便利グッズのようなアイディア商品、ドラッグストアが取り扱っている(商品の外箱や袋自体がPOPになっているけれど)洗剤類や薬、袋菓子、化粧品(特にスキンケア商品)などでしょうか。
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私はお取引先で、ちょっと残念なPOPを見ることが多いのです。
化粧品販売店(フェイシャルエステティックの提供もあります)のものですが、例えばホワイトニングラインだとすると、こんな具合です。
順番に字の大きさが、小さくなっていきます。
1. 化粧品の名前 ホワイトニング◉◉◉クリーム
2. ブランドラインの名前 ▲▲▲ライン
3. キャッチフレーズ 輝く✖️✖️肌へ!
( メーカーのカタログや資料から抜粋したもの)
・・・そして、価格や容量が記入されていない。
書き換えるとすると、
1. 輝く✖️✖️肌へ!
2. ¥5,400(税込)30g
3. ホワイトニング◉◉◉クリーム
(4. ▲▲▲ライン)→無理にいらないかも
化粧品販売店で、お客様が一番知りたいのは「自分に必要な商品かどうか?」。
なのに、化粧品の名前やブランドライン名が 一番大きく書いてある。
「どんな人に購入してもらいたいのか?」。一番のアピールポイントはそれです。
そして、欲しいと思ったら、次にお客様が気になるのは価格でしょう?
商品の名前やブランドラインなんて、一番小さくていいはず。
え?メーカーの資料は、商品名やブランド名が一番大きいって?
そりゃ〜そうです。
メーカーは、「そのブランドラインの商品(品番)を販売店に売りたい」んですから。
今、ホワイトニング◉◉◉クリームを売りたい!
販売店にアピールして、仕入れしてもらいたいのはその商品なのだから。
化粧品メーカーの顧客へのアピールは商品の登場感や、商品やブランドイメージです。
「綺麗」を前面アピール。「夢」の部分が大切なので。
だから、価格は小さくカタログに記載しています。上品にね。
販売は、現場にお任せしているんですよ。
メーカーが直営店でも運営していれば事情が分かるかもしれないけれど、運営していなければ、悪い言い方だけど、ほぼ丸投げ?(笑)。
販売店のスタッフは、その上品なカタログや販売促進ツールを使いながらも、現実的な対応をしなければならない訳です。
ところが、一番のアピールポイントの表現が、難しい。
スキルも知識もセンスも必要だから。
下手をすると、薬機法違反(旧薬事法のことです)に問われかねない。
だから、もし、POPを書くなら、お客様向けのカタログに表現されているコピーを使用してくださいね。
お客様向けの表現は、きちんと薬機法をカバーした表現を使用しているはずです。
ちゃんとした会社ならね。
その場合も注意点があります。「コピーを一字一句変えずに」使うということ。
カタログに書いてあった言葉であっても、つなぎ合わせて作ってしまうと、微妙に意味が変化して、使ってはいけない表現になってしまうことがあるのです。
それから、カタログとは違って仕入先に向けての資料は、お客様には言えないことも書いてある。もちろん、POPに書いてはいけないことです。
けれど、ここには販売側がお客様にアピールしたいことが、沢山詰まっていたりする・・・。
売りたい側は、「おとなしいことばっかり言ってたら、商品が売れない!」と言って、容易&安易にこのルールを飛び越えようとします。薬のように効く!って言いたいですから。
お客様側も、ルールは知らないし、そもそも区別がついていませんし。
販売店側にしたって、薬機法の詳しい知識を持っている人はほぼ皆無。
ですから、会社に在籍していた頃、何回か「メーカーとしてプライスカードを作成して提供を!!」と提案しました。
現場に責任を負わせるのは現実的に無理ですし、リスクもありますから。
でも、販売店美容部員の教育を担っている部署も関連役員も、その必要性を感じていなかったようで。
私の在籍中にその提案が採用されることは、ついにありませんでした。
(その後、1年ほど経過してから、プライスカードが取引先に提供されたと風の噂で聞きました。良かったです。ちょっと安心しました。)
さてさて。
少しでも、物販のあるサロンさんは、せめてプライスカードだけは、付けてくださいね。
『いい商品ですよ!」と説明を沢山したとしても、値段が書いていないと、買う気があってもお客様は諦めてしまうことが多いのです。聞いてまで、買おうとは思わない。
プライスカードなら、商品名と価格だけで大丈夫だし、センスや知識も必要ない。
プライスカードを書いていないかった・・・・そんなことで、販売ロスは勿体ないですから。
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